おせちとは、節日のうち最も重要なお正月に作られる料理を指します。めでたい日に食べる料理のため、その一品一品に願いが込められています。例えば、祝い肴である黒豆は邪気を払い長寿と健康を願い、一年をまめに過ごせることができるようにと食べます。数の子は子孫繁栄を、田作り（ごまめ）は「五万米」と表し、「田作り」の名とともに五穀豊穣を祈ったものです。
地方によりその構成は異なるものの、必ず意味がある料理が並びます。おせち料理は基本的に味付けが濃く、日持ちするように作られるようになっています。これは神様をお迎えした新年や聖なるお正月の火に神様と共に食べるものをつくる他は火を使うことを避けるべきだという考え方や、女性がお休みできるようにという配慮があるという説もあります。昔は年末から年始まで食料が入手しづらかったので、自然に保存食になったとも言えます。
しかし現在は食品の保存技術向上に伴い、寿司や刺身、ローストビーフといった元来おせちではないものもお正月に食べるようになってきています。また、重箱に詰めないという家庭もあり、より現代人が食べやすい形へと変化しています。今までは年末に女性が総出で作っていたおせち料理も、スーパー、百貨店、レストラン、コンビニでも予約をして安く美味しく楽しめるようになっています。近年は年末年始に仕事の休みをとれる人も少なくなってきており、こうしたサービスは年々需要が高まってきています。